食べる、笑う、支える。
嚥下食・やわらか食を通して、母と過ごす毎日の記録。
食べる力を支えるために試した介護食、工夫、そして小さな笑顔の瞬間を綴っています
🌿 2021年5月〜2025年10月の振り返り
― 食べること、笑うこと、支えること ―
🍚 食欲旺盛だった母
母はずっと、食べることが大好きでした。
「食べない日がない」というくらい、食欲旺盛で。
40代から70代にかけて脳梗塞や脳出血を何度か経験し、そのたびに麻痺などの後遺症も出ましたが、それでも食べる楽しみを忘れない人でした。
75歳のとき、胆嚢炎で手術を受けてからは自力で立つことが難しくなりました。
その後コロナ禍でデイサービスに行けない日々が続き、
ある日突然、食べ物を口に入れても「もごもご」と動かすばかりで飲み込めなくなりました。
🏥 飲み込めなくなった日
「どこか悪いのでは」と思い、救急やかかりつけ医、耳鼻科なども受診しましたが原因は分からず。
点滴で様子を見ることになり、その頃の私は「嚥下機能低下」という言葉も知らず、何が起きているのか分かりませんでした。
母はよだれを垂らすことが多く、手作りのスタイをしてデイサービスへ行っていました。
食後には痰が出ることもあり、口腔ケアのスポンジでそっと拭き取っていました。
「高齢者は肺炎に気をつけて」とは聞いていても、痰が原因で誤嚥や肺炎を起こすことまでは、まだ理解できていませんでした。
🥄 食が細くなるというサイン
食が細くなることも、実は「飲み込みにくさ」の表れだと今なら分かります。
脳梗塞後は入れ歯を外していたため噛み合う歯がなく、刻み食やブレンダーを使っていました。
「柔らかければ食べやすい」と思い込み、プリンやアイスを食べさせてみたけれど、
口の端からこぼれてしまう。
採血では異常なし。けれど食べられない。
1か月半の点滴ののち、胃瘻の話が出たとき、母は再び口を開け、恐る恐る食べたのがゼリーでした。
🍮 ゼリーとの出会い
それから少しずつ、ゼリーや介護食を調べ、職場のリハビリのSTさんや栄養士さん、ケアマネさんにも相談しました。
ネットでいろんな介護食を試し、栄養価の高いゼリー、常温で保存できるおかずゼリー、ご飯ゼリーなどを見つけていきました。
食べるときは目を閉じて、食後もそのまま目を閉じている日が多くなりましたが、
“食べること”を続けることはできました。
🌸 吸引との出会い
時々喉がゴロゴロして、「えっ、えっ」となることが増え、吸引器を使うようになりました。
初めは怖くておそるおそるでしたが、痰が取れると母は楽そうにして、声も出ました。
「痰がきれいに取れると、目が開く」──その瞬間を何度も見ました。
痰が取れることで、飲み込みもスムーズになり、声も少しずつ出るようになりました。
調子の良い日は「おはよ」「おもう」と言葉が出たり、
歌の最後の部分だけ声を出すこともあります。
😊 今
今でも「落とし物でーす」と笑い合う時間があります。
吸引のとき、母は指で「こっち」と示してくれる。
そんなやりとりが、今の私の宝物です。
おかげさまで、これまで肺炎も褥瘡も一度もなし。
それが私の小さな自慢です。
振り返ると、いろんなサインがありました。
- よだれが多い
- 食後の喉のゴロゴロ
- 飲めずにこぼれ落ちる
- 目を瞑る時間が増える
- 声が出ずジェスチャーで伝える
食べやすいものを「知らないこと」が、食べられなくなることにつながる。
そのことを、母が教えてくれました。
🌷
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