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母と続けてきた在宅嚥下食の考え方

📅 日付:2026年4月4日

このページでは、母と続けてきた在宅での嚥下食の考え方をまとめています。

はじめて読まれる方へ向けた「基準と考え方」のまとめです。











はじめに



このブログでは、嚥下機能が低下した母と過ごす中で見えてきた、

「食べやすさ」と「続け方」の基準を書いています。


食べられることだけでなく、

食べる時間が安心できること、

食べることが楽しみであることも大切にしてきました。





1. できることばかりでなく、続けていることを大切に



姉の家の近くで一人暮らしをしている父のことを、ふと思い浮かべることがあります。

一人で起きて、一人で食べて、一人で過ごす。

それだけで、もう十分に頑張っているのだと思います。


そんな父の姿を思うと、母のことも重なります。

今こうして一緒にいる中で、私が見えるようになってきたのは、

「できること」よりも「続けていること」の大切さでした。


何気ない毎日を過ごしていること。

それ自体が、すごいことなのだと思います。





2. 食べやすさは「やわらかさ」だけではない



嚥下食というと、やわらかさに目がいきます。

でも実際に作っていて感じるのは、それだけではないということです。


私はこれまで、


・滑り台で「流れ」

・漏斗で「まとまり」

・トランポリンで「弾力」


を見てきました。


その中で、食べやすさは


・流れ

・まとまり

・弾力


この3つのバランスで変わるのではないかと感じています。


ただやわらかいだけでは食べにくいこともあります。

まとまりがないとバラけてしまい、

ベタつくと送り込みにくくなることがあります。


だから私は、

なぜ食べにくいのか、なぜ食べやすいのかを、

見てわかる形で伝えていきたいと思っています。


※その時の状態によって、合う形は変わります。





3. 在宅では、食感を目安に考えている



在宅で嚥下食を作る中で、食感を次のように分けて考えるようになりました。


・ぷるん

・ぽてっ

・とろり

・べたっ

・ふわっ


数値で測ることも大切ですが、在宅では毎回それをするのは難しいです。

そこで私は、スプーンですくって「落ち方」を見ることを目安にしてきました。


この分類で考えると、


・どんな食感が合いそうか

・どんな性質が食べやすいか

・どんな食べ方が合うか


をイメージしやすくなります。


そして、全部を同じ食感にしないことも大切だと感じています。

食感がいろいろある方が、「食べている感じ」が生まれるからです。





4. 基準は、「できるようにさせる」ためではなく「分かる」ためにできてきた



食べられるようになったのは、何か特別なことをしたからではありませんでした。

気になったことを、聞いたり、調べたり、試したりしているうちに、少しずつ基準ができてきました。


分かったのは、


「これをこうすれば食べられる」という答えより、

「今日はどういう状態か」を見ることの方がずっと大事だということです。


食べさせようとしたのではなく、

分かろうとしていただけでした。


口の開け方、飲み込み方、むせ方。

その日の小さな反応が、その日の状態を教えてくれるサインでした。





5. わが家で大切にしている食べやすさの基準



わが家では、次のことを大切にしています。


・少なすぎず、多すぎない一口量

・姿勢や首の角度

・食べる順番

・食前・食中・食後の吸引や口腔ケア

・食べやすい温度

・見た目や器の工夫

・味や舌触りの変化


特に一口量はとても大切で、

少なすぎてもまとまりにくく、

多すぎても危険になります。


また、食べることは口だけでなく、

痰、声、姿勢、空気、湿度にも助けられていると感じています。





6. 食べることは、安心と一緒にある



母は長い間、よだれが多い時期がありました。

でも後になって、それはうまく飲み込めなかった唾液が前にあふれていただけだったのだと分かりました。


その後、よだれが減ったとき、良くなったのではなく、

今度は喉の奥に溜まるようになっていたのでした。


吸引で痰が取れると、目が開き、声が出ることがあります。

その変化を何度も見てきました。


今では、吸引は「かわいそうな処置」ではなく、

食べるための準備であり、支えだと思っています。


取ってもらえる。

苦しくなったら助けてもらえる。

その安心があるから、また一口に向かえるのだと思います。





7. 食べることは、栄養だけではなく楽しみでもある



私は、もし自分が食べるならどうだろう、とよく考えます。

時には好きなものも食べたいと思うはずです。


だから私は、母と一緒にマクドナルドにも行きます。

木曽路にも行きます。

阪神戦や吉本新喜劇にも出かけます。


食べることは、栄養だけではなく楽しみでもあるからです。


「楽しむは、くすりだよね」


これは、わが家の介護の大切な考え方のひとつです。





8. 続けるためには、環境も大切



痰がたまりやすい日には、換気や加湿で違いが出ることがあります。

空気がこもると呼吸が浅くなり、

やわらかい風が入ると表情が少し明るくなることもあります。


また、部屋を明るく整えること、

誰が来ても分かりやすい収納にしておくことも、

在宅介護を続ける上では大切でした。


介護は一人で抱えるものではなく、

みんながやりやすい形にしていくことも安心につながります。





9. 母と私は、食べることを少しずつ取り戻してきた



2021年、母はまったく口を開けなくなりました。

点滴が続き、胃ろうの話も出ました。


そのとき、きっかけになったのがスイカゼリーでした。


少しずつ、少しずつ。

ゼリーから始まり、ムースやブレンダー食へ。

吸引や姿勢、環境の工夫も重なって、食べることは戻ってきました。


急に食べられなくなったのではなく、

姿勢、痰、乾燥、食事、いくつかの要素が重なっていたのだと、あとから分かりました。





おわりに



私は、母を「食べられるようにさせた」のではなく、

母と一緒に、食べやすい形を探してきただけなのだと思います。


食事介助は、食べさせることではなく、

一緒に食べる時間を守ること。


このブログは、

その中で見えてきた基準と考え方、

そして母と過ごした時間の記録です。


同じように悩む誰かにとって、

小さなヒントになればうれしいです。



小さな気づき

【すすって食べる方に、合わせてみた日】


今日、ひとつ気づいたことがありました。


スプーンでお粥を口元に持っていくと、  

その方は、口を開けて待つのではなく、  

すっと吸い込むようにして食べていました。


舌を少し前に出して、  

自分で取り込むような食べ方です。


そのまま食べ進めていくと、  

何口かごとに、ふっと手をおでこに当てて、  

そのままうつむき、目を閉じます。


最初は「疲れたのかな」と思いました。


でも、その様子を見ていて、  

「この方のペースがあるんだ」と感じました。


無理に声をかけるのをやめて、  

その時間をそのまま待つことにしました。


しばらくすると、また顔を上げて、  

自然に次の一口へ進まれます。


その流れを邪魔しないように、  

スプーンも少しだけ近づけるようにしました。


口の中に入れるのではなく、  

「自分で取り込める位置」に置くように。


すると、すっと吸い込んで、  

また落ち着いて食べていかれました。


これまで「食べてもらう」ことを意識していたけれど、  

その方の食べ方に合わせることで、  

こんなにも自然に進むんだと感じました。


食べ方にも、その人らしさがあります。


やわらかさだけでなく、  

まとまりや、取り込みやすさ、  

そして「ペース」も大切なんだと、改めて思いました。


今日の気づきでした。




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「※これは医療的な指示ではなく、わが家で続けている記録です」





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